株とFXはそれぞれ特徴が違います。しかし、これから投資を始める方の中には、両者の違いについて詳しく知らない方もいるかもしれません。
株とFXの違いについて良く知らず、自分に合わない方法で投資をはじめてしまうと、ストレスや挫折の原因になり、成果を出しづらくなってしまいます。
そこで、本記事では、株とFXの違いやそれぞれのメリットデメリットについて詳しく解説していきます。株とFXの特徴を網羅的に知ることができるので、どちらが自分に合った投資方法なのか判断できるようになります。
株とFXの違い
株とFXには主に、以下の表に示す8つの違いがあります。
株 | FX | |
投資対象 | 企業 | 通貨 |
銘柄数 | 4000銘柄以上 | 50以上 |
インカムゲイン | 配当金・株主優待 | スワップポイント |
取引時間 | 9時~15時 | 24時間 |
レバレッジの倍率 | 3.3倍(信用取引の場合) | 25倍 |
手数料 | 取引手数料 | スプレッド |
強制決済の有無 | なし(信用取引ではあり) | あり |
板の有無 | あり | なし |
それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。
投資対象
株取引における投資対象は企業です。株取引で売買する「株」は企業の所有権を細かく分割したものです。企業の業績や成長への期待値が上がれば、その企業の権利を欲しがる人が増えて株価が上昇し、投資家は利益を得ることができます。
FXの投資対象は、世界各国が発行している通貨です。通貨の価値は常に変動しており、高くなったり安くなったりしています。そこで投資家は、特定の通貨が安いときに買い、高いときに売ることで利益を得ています。
銘柄数
株取引では、証券取引所に上場している企業に投資できます。日本国内の上場企業は約4000社あるため、投資できる銘柄の数は4000種類以上です。また、海外企業も投資対象に含めると投資可能な銘柄数はさらに増えます。
一方、FXの銘柄数は50程度しかありません。なぜならFXの投資対象は主要な通貨ペアに限られるためです。通貨ペアとは「米ドル/円」「ユーロ/円」などの通貨と通貨の組み合わせのことで、たとえば「米ドル/円」を投資対象に選んだ場合、円を使って、ドルを売ったり買ったりします。
インカムゲイン
株式投資で得られるインカムゲインは、配当金と株主優待です。配当金も株主優待も通常年に1~2回程度もらえます。ただし、株主優待を実施していない、あるいは配当金を出さない企業もあります。
FXで得られるインカムゲインはスワップポイントです。スワップポイントとは、取引する通貨ペアの「金利差」のことです。FXでは、購入した通貨の金利を受け取り、売却した通貨の金利を支払います。そのため、金利が高い通貨を買い、金利の安い通貨を売るとき、2つの通貨の金利差の分だけ利益が得られます。スワップポイントはポジションを持っている限り毎日受け取れます。
取引時間
株取引は通常、各国の証券取引所の開場時間内で行われます。日本の場合は、平日の午前9時から11時30分、および午後12時30分から午後3時までの5時間が株を取引できる時間です。なお、証券会社が運営する私設の取引システムを使って夜間に株を売買することもできますが、銘柄数や取引量が限られます。
FXは24時間取引が可能です。これは、世界中の外国為替市場が連携しているためです。たとえば、東京では日本時間の8時、ロンドンは16時、ニューヨークは21時に市場が開場します。各都市にある市場が順次開閉するため平日は1日中どこかの市場が開いており、昼夜を問わず取引できます。
レバレッジの倍率
株の現物取引の場合、レバレッジはかけられません。信用取引ではレバレッジをかけられますが、最大3.3倍が限界です。
一方、FXでは最大で25倍までレバレッジをかけられます。しかも25倍というのは日本の法律で定められた限界なので、海外のFX業者を使えば100倍や1000倍、あるいは無制限にレバレッジをかけられる場合もあります。
手数料
株の取引を行う際、証券会社に手数料を支払う場合があります。支払う金額は証券会社によって異なりますが、だいたい取引額の0〜0.1%程度になります。
FXでは取引をする際、スプレッドが発生します。スプレッドの幅は証券会社や通貨ペア、市場の状況によって変動し、流動性の高い通貨ペアほど狭くなる傾向があります。また、FX取扱業者によっては、スプレッドを狭くする代わりに別途手数料を取るところもあります。
強制決済の有無
FXでは、含み損が一定の水準まで膨らんだ場合、強制的に決済が行われます。これはいわゆる「ロスカット」と呼ばれるもので、相場の変動で大幅な損失が出たとき、強制的に取引を終わらせて、さらなる損失が出るのを防ぐシステムです。
株式投資では通常、強制決済は行われません。ただし、信用取引を利用している場合は例外です。株価の下落により資金が減少すると追加の保証金が必要になることがあり、保証金を納められない場合は強制決済される可能性があります。
板の有無
「板」とは、株の買い注文と売り注文をわかりやすく整理してまとめた表のことです。板を見ることで注目している銘柄の株が「いくらで何株売りに出されているか」もしくは「いくらで何株の買い注文が入っているか」を知ることができます。
一方、FXには板がありません。そのため、チャートから取引の状況を読み取ります。
株のメリット・デメリット
FXと比較した場合、株式投資には以下のメリットとデメリットがあります。
株は、短期的なトレードだけでなく、長期投資にも向いています。株は企業の成長とともに値上がりする可能性を秘めているため、有望な企業の株を長期間保有しておけば、数年後に大きな利益をもたらしてくれる可能性があります。
また、株取引を行う際は「板」と呼ばれる「売り注文」と「買い注文」の状況を一覧で把握できる表を利用できます。「板」を使って注目する銘柄の需給を読み解けば、取引を有利に進められるでしょう。
株式投資をはじめる場合、ある程度の初期費用を準備する必要があります。なぜなら、株は通常100株ごとに取引するためです。1株1000円の株でも100株購入すれば10万円です。証券会社によっては100株未満での取引に対応している場合もありますが、取り扱い銘柄が限られています。
また、株取引では、銘柄によっては取引量が少なく「買いたいときに買えない」あるいは「売りたいときに売れない」といった事態になることがあります。
FXのメリット・デメリット
株式投資と比較した場合、FXには以下のメリットとデメリットがあります。
FXのメリットは、高いレバレッジをかけられるところです。FXでは最大25倍までレバレッジをかけられるので、少ない資金で大きな取引が可能です。また、24時間いつでも自分の都合のいい時間に取引できるのも大きなメリットでしょう。
スワップポイントは、金利が高い通貨を買い、金利の安い通貨を売ったとき、2つの通貨の金利差の分だけ得られます。しかし逆に、金利が低い通貨を買い、金利が高い通貨を売れば、スワップポイントを支払わなければなりません。
株とFXどちらがおすすめ?
株とFXにはそれぞれにメリット・デメリットがあり、人によって株式投資に向いている場合とFXに向いている場合があります。ここからは、株式投資に向いている人とFXに向いている人の特徴を解説します。
株式投資が向いている人
株式投資に向いているのは以下のような人です。
- 仕事や家事が忙しくて時間がとれない人
- 財務分析ができる人
- 応援したい企業がある人
株式投資は、FXと比べ長期投資に向いています。なぜなら長期で株を保有すれば、配当金や株主優待がもらえたり、企業の成長とともに株価が上昇したりするためです。
長期投資を行う場合、一度購入した株は基本的に持ち続けることになるので、PCに張り付いて頻繁に株を売買する必要はありません。そのため、仕事や家事で忙しい人は株式投資が向いています。
また、長期で株式投資する場合、投資したい企業について詳しく知って、将来有望かどうかを判断する必要があります。そのため、財務分析ができて企業の状況を正しく把握できる人や応援したい企業がある人も株式投資に向いています。
FXが向いている人
FXに向いているのは以下のような人です。
- 日中忙しくて時間が取れない人
- 少ない元手から短期間で大きく稼ぎたい人
短期トレードで稼ぎたい場合、値動きを見ながら1日のうちに何度も取引を行うので、リアルタイムで取引に参加できる方が有利です。そのため、日中忙しくて時間が取れない人は、24時間取引可能なFXの方が向いています。
また、株取引では信用取引を利用した場合のみ3.3倍までレバレッジをかけられますが、FXでは最大で25倍のレバレッジをかけられます。そのため、少額からはじめて、短期間で大きな利益を上げたい方はFXの方が向いているでしょう。
まとめ
この記事では、株とFXの違いやそれぞれのメリットデメリットについて解説してきました。
株は企業に対して行う投資であり、短期的なトレードだけではなく長期投資にも向いています。
一方、FXは国が発行する通貨に対する投資であり、高いレバレッジをかけられるため、少額からでも短時間で資金を増やせる可能性があります。
株とFX、それぞれの特徴を把握して自分に合った投資方法を選択しましょう。